伊多波刀神社
春日井市上田楽町3,454 ゼンリン


交通案内
JR中央線春日井駅と名鉄小牧駅間のバス南町屋下車北北西10分 (田楽 たらく)

祭神
五十猛命 *1 

 神社の説明では祭神は高皇産霊命、品陀別命、息長足姫命、玉依姫命、大山祇命、市杵島姫命、伊豆乃売命の7神である。
 愛知県歴史散歩によると素戔嗚命等数神となっている。*2

由緒
 大山祇命、市杵島姫命、伊豆乃売命を祀っていた田楽権現を八幡社に合祀したとされている。従って、素戔嗚命や五十猛命が祀られていた元の社が八幡社に代わり、そこに田楽権現をまとめたものと想定できる。 尾張の地は豊かであるだけに、争乱が多く、由緒が分からなくなったり、また祭神の交代があったのだろう。

お姿
  参道は長く、鎮守の森にはウバメガシなど多い。近くの鷹来小学校の校庭の楠木も見事である。


社殿も荘厳で地元の信心が篤い。

式内社調査報告 第八巻 尾張國春日部郡 伊多波刀神社


 【社名】諸本は、「イタハトノ神社」とよむ。『尾張本國帳』は「板鳩」、『國内神名帳』は、「板鳩天神」と書 かれてゐる。音からくるあて字と思はれる。異稱とはみられない。

【祭神】 社傳によると、高皇産靈命、譽田別尊、息長足姫命、玉依姫命を祀り、大山紙命、市杵島姫命、伊豆能責 命、品陀別尊を合祀してゐる。『特選神名牒』では、高皇産靈命の名はみられない。

 【所在】 春日井市上田樂(たがら)町三、四五四番地(東春日井郡鷹来村大字田欒字宮杢ニ、四五四番地)。
 名鐵バスセンターより、名鐵春日井驛揮下未経由小牧行バスに乗車。五〇分。バス停上田欒下車。徒歩西五分。 【由緒】 景行天皇四十二年創祀の社傳をもつ。『神社明細書』に、「往古ヨリ味岡庄十七ケ村總産土神と尊崇スル式内 ノ社ニシテ、中古慶長年間地檢ノ際マデ、地所五町八反ノ神領アリシニ、其際官没サレシ由、今猶古老ノ口碑二存ス」と あり、中世から近世初頭こかけて隆盛した神社である。中世から近世初頭の武士の尊崇あつめてゐた。源頼朝の寄進の社 傳、織田信長の寄進などがみられた。
 また、「板鳩」といはれるのは、板に鳩を畫いて奉納することによつたものである。石清水八幡宮の神の使いとし ての鳩からの連想で、中世の武士の信仰を集め、隆盛した。神宮寺として、常念寺があつたが、現在は廃寺となつてゐる 。
 神階、従二位。明治三年、郷社に列せられ、昭和二十一席二月十日付で縣社昇格認定された。『神社明細書』によ  る。

【神職・氏子數】 林達也宮司が奉仕されてゐる。氏子數は一、七〇〇世帯である。

【祭祀】 例祭日、陰暦八月十五日。當日、神事として、流鏑馬を行つてゐた。各々社僧常念寺にて甲胃を着け、夫 より社僧を初め、流鏑馬三騎に乗馬にて参詣し、様々に神拝の式ありて後、一の的にて神主祈念あり、次て流鏑馬を行つ てゐた。(『東春日井郡誌』)戦前、行なはれてゐたが、現在は、廃絶してゐる。

【境内地】 三、八五一坪。

【社殿】 本殿・渡殿・祭文殿・拝殿をもち、長い参道を備へてゐる。本殿は、八幡造である。昭和二十六年に、本 殿屋根振替、正遷宮を行つてゐる。
 境内社として、津島社、天照大神社、豊受社、熊野社、秋葉牡、白山社、熱田社、愛宕社、多度社、山王社、大日 靈社、菅原社、御靈社、淺間社、建部社がある。参道入口にみられる神明社は、境外社であつたとされてゐる。

【寶物】 
 棟札、寛永十一年より、約二十年おきに再興を記した棟札がみられる。
 兜面頬小手共 紺色威 一箇(春日餘定作)織田信長寄附せしものといはれる。
 木太刀 一口。柳生兵助入道が御前試合に使用した木太刀がみられる。
                 (釼持悦天)


*1 古代の鉄と神々(真弓常忠)学生社
*2 愛知県の歴史散歩(山川出版社)

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