大雲取越えを逆コースで歩いた。小口から那智へ最大の難所。
小口から急な坂を上り始めるとまもなく円座石につく。ワロウダ石と訓む。大石の上に円形の座布団を置き、熊野の神々が談笑したりお茶を飲んだりしたと云われる。
大石の梵字三字は阿弥陀仏、薬師仏、観音仏が刻まれている。本宮、新宮、那智の本地仏である。
それからも登り道が続く。楠の久保旅籠跡に着く。上の方に巨石がある。
それから胴切坂にさしかかる。約1時間延々と登る。胴切とは横腹が痛くなり、切れそうだとの意。 登り切ると越前峠。現在は植林で見晴らしは悪いが、かっては越前まで見通せたとの古道最高地点である。標高870m。
それから石倉峠を越え、地蔵茶屋跡に至る。大雲取山への登山車道がついている。地蔵茶屋からは暫く車道を歩く。
神社名、祭神は不詳。『紀伊続風土記』には記載がない。江戸時代にはなかったのだろう。近隣の村々に小祠があったようだが、それらを合祀して当地に建立したものかも知れない。合祀前の小祠の名前、祭神も前書には記載がない。
舗装道路を進む。西側には川があり、比較的丸い石が並んでいる。色川辻を過ぎて船見峠へさしかかる。その前から潮のにおいがしていたが、この峠からは勝浦方面や太地がよく見える。 那智の妙法山もよく見える。石畳の道は鮮やかな緑色の苔がこぼれ日の中で映えている。 美しいが滑りやすい。
那智大社までの大雲取越えは約8時間。