南宮大社(仲山金山彦神社) 
岐阜県不破郡垂井町宮代字峯 its-mo

交通

JR東海道線垂井駅南西1km

祭神

金山彦命 配 見野尊、彦火火出見尊
摂社 樹下神社「大己貴命」
摂社 高山神社「木花開耶姫、瓊瓊杵尊」南宮山上に奥宮
摂社 隼人神社「火闌降命」
摂社 南大神社「天火明命」
摂社 七王子神社「大山祇神ほか」
摂社 数立神社(美濃国中の神々を祀った総社)
摂社 落合神社「素盞嗚命」
摂社 伊勢両宮「天照大神、豐受大神」
摂社 金敷金床神社「豐岡姫命、蛭兒命」
境外摂社 大領神社
境外摂社 吉葛神社(よさつら)「天吉葛神」
境外摂社 南宮大社御旅神社「金山彦命 配 豊玉彦命、埴山媛命」

由緒

 美濃国一宮、延喜式でも国内唯一の名神大社で仲山金山彦神社と称した。
 祭神の金山彦神は日本書紀一書に「伊弉冉尊、火神軻遇突智を生まむとする時に、悶熱ひ懊悩む。因りて吐す。此神と化為る。名を金山彦と曰す」とある神である。
 五行説の金神とする林羅山の説があるが、神社構成の歴史からは傾聴すべき見解であろう。7世紀の構想の神と真弓常忠氏は述べておられwる。 金気一切を司る神として公権力より認知されている金山彦は金属精錬の神々として、先の多くの神々の集積したものであろう。強いて言えば新しい製鉄の神と言える。

 「真金吹く吉備の中山」と言われる中山神社は美作一宮も金山彦を祀る。この美作の中山神社が鎮座する以前にはその地に大己貴命を物部氏が祀っていたとの伝承がある。
 

 さて、この「中山」とは何か?一つには五蔵山教の南山教、西、北、東、中山教の五篇の内、中山教は出鉄・製鉄の中心とされている。この辺りの知恵が王権に取り入れられたのであろうか。
 信濃の諏訪大社も「南宮」と呼ばれていた。この社は南方刀美社とも言われ、ミナカタは南の方向であり、五行思想での火の神の座に当たり、本来、西の座の金の神を、製造面から祀る意味があるものと思われる。諏訪大社が南宮の本宮であり、中の宮が美濃、児の宮は伊賀の敢国神社とされる。 敢国神社は大彦命・金山彦・少彦名神を祀るが、大彦命は阿部氏の祖でその裔は金屋子神の祭祀を司ったと言う。すなわち鉄山を管理した氏族である。
 「中山」が本格的な製鉄神となって、各地に分遷されていったのであろう。

 谷川健一氏の名著「青銅の神の足跡」の冒頭はこの南宮大社のふいご祭りの描写から始まる。伊吹おろしの強風、伊福部氏、近くから出土している銅鐸、風は金を生ずるがテーマである。 あんがい、南大神社の祭神の「天火明命」が伊福部氏、銅鐸とのつながりから、より古い祭神だったかも知れない。

平成祭礼データの由緒

 御祭神金山彦命は、神話に古く、伊勢神宮の天照大神の兄神にあたらせられる大神様であります。社伝によれば、神武天皇東征のみぎり、金鵄を輔けて大いに霊験を顕された故を以て、当郡府中に祀らせられ、後に人皇十代崇神天皇の御代に、美濃仲山麓の現在地に奉遷され、古くは仲山金山彦神社と申し上げたが、国府から南方に位する故に南宮大社と云われる様になったと伝えます。
 御神位は古く既に貞観十五年(873)に正二位に叙せられ、延喜式の神名帳には美濃国三十九座の内、当社のみ国幣大社として、名神祭にも預る大社に列せられています。天慶三年(940)、平将門の乱の言朱伏の勅願や、康平年中(1058〜65)安部貞任追討の神験によって、正一位勲一等の神位勲等を極められ、以来、鎌倉、室町、戦国の世を通じて、源氏、北条氏、土岐氏等の有力な武将の崇敬をうけ、美濃国一宮として、亦、金の神の総本宮として、朝野の崇敬極めて厚い名大社であります。

 御社殿 現在の社殿は、天下分け目の関ケ原合戦の折、兵火にかかって炎上の為、再建を願う美濃国人の只管なる念願と、この西濃に生い育った春日局(家光公の乳母)や、竹中伊豆守(竹中半兵衛の一族)等の厚い崇敬心と相俟って、寛永十九年の秋九月、徳川三代将軍家光公の天下普請によって、旧構のままに造営されたものであります。以来、歴代将軍の替わる毎に四百五石の朱印状を捧げてこれを安堵し、また、五十一年目毎の式年遷宮をも、古式を護って、これを奉仕し続けて来たのであります。
 豪壮華麗なるこの朱塗の社殿様式は、正しく御神威を表徴する独自の社殿様式であり、世に「南宮造り」とも称せられる名建築であります。寛永御造営の棟札を始め、膨大な造営文章六百二十三冊を蔵し、これには明治維新の神仏判然令によって移築された堂塔をも含めて、細大洩らさず、その経費が明示され、全国的にも極めて貴重な史料として、御社殿・石鳥居・石輪橋等十八棟とともに国の重要文化財に指定されています。

たたずまい
 南宮山北東の麓に鎮座、社殿は東南東を向いている。まさにかの伊吹山を遙拝する作りである。古代の不破の関を監視する関の大神ともされる。壬申の乱での効験により大海人皇子の野上行宮の建物を社殿としたとの伝承が残る。
 白木の入母屋造は徳川家光が寄進した小判七千両で再建されている。
 拝殿南側に寄贈されたさまざまな多くの鉱石が置かれている。

高舞殿、拝殿、本殿

本殿

お祭り
11月 8日 1日間 金山大祭例祭(ふいご祭り)

 5月 4日 1日間 御田植祭

 5月 5日 1日間 例大祭 (神幸式、蛇山神事)

樹下神社    高山神社

南大神社    隼人神社



*1 日本の神々 9 白水社
*2 古代の鉄と神々 真弓常忠 学生社
*3 青銅の神の足跡 谷川健一 小学館

物部氏ホームページ

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