Uga 飛鳥時代

1 前の時代
   雄略帝の時代には地方豪族も刀剣に文字を刻むなど識字率が上がっていたと思われる。天皇の力は雄略期をピークとして下がって来ており、雄略帝がライバルを殺しすぎたこともあり、ついには成り手がいなくなった。それで豪族たちが天皇の位につく人物を探し出す事態になっていた。
天皇家が存続できたのは何故かを知る必要がある。
 一方、海外に目を向けると、大陸ではひさしぶりの統一政権である隋が建国された。半島では三国が競い、百済は倭国に軍事的支援を求めてきている。
 欽明天皇の時代に百済から仏教が伝えられた。倭国にとって初めての本格的な宗教が登場した。この採否を巡って、賛成の蘇我氏、反対の物部氏の間で対立が起こった。


2 飛鳥時代へ
 豪族が天皇を選び、選ばれた天皇が豪族の身分を保証するという相互関係にあり、政治の中心は豪族にあった。用明天皇の次に崇峻天皇が即位、時の権力者の蘇我馬子を嫌い、逆に暗殺されてしまった。臣下による天皇暗殺が行われた。592年。
仏教へのスタンスの違いと豪族間の勢力争いに皇位継承争いが混ざり合って物部守屋が孤立し、丁未の乱(ていびのらん)587年 が勃発、守屋は敗死した。


3 推古天皇
 欽明天皇の皇女で敏達天皇の后であった推古天皇が日本で初めての女帝として誕生した。顕宗・仁賢天皇の姉である飯豊皇女が一時政務を見たとされるが、天皇とはみなされていない。
 当時、飛鳥の甘樫丘とその周辺に蘇我氏が居住していた。奈良盆地でも南に籠っており、外敵から身を守るに適した場所と言える。蘇我氏が動乱に備えていたと思われる。
 推古天皇は593年、豊浦宮で即位、甘樫丘北西500m。後に小墾田宮、甘樫丘北500mに宮を遷した。蘇我氏の懐の中である。


4 聖徳太子
 木石に祈る神道より黄金色の仏像と経典がそろった仏教とを比較すれば、あきらかに文明の香りが高い仏教に気持ちが揺らいでも不思議ではない。疫病の蔓延を背景として蘇我氏と物部氏とが仏教の受容を巡って争った。
 天皇達の態度も一貫せず、用明天皇にいたって、仏教への帰依を表明し、ことここに至って排仏派の劣勢は明らかとなった。
 仏法の流布を誓願して戦った馬子は丁未の乱に勝利した翌年、日本最古の本格的な寺院である飛鳥寺の造営を開始した。これに百済が支援したとされている。仏教が日本に受容された背景には、蘇我氏の長年にわたる尽力があったといえる。
 推古天皇の皇太子として、また摂政的な存在として聖徳太子が蘇我馬子とともに国の政治を司った。冠位十二階や十七条憲法の制定などが有名な業績である。
 欽明天皇の時に、帝紀(ていき 歴代の天皇あるいは皇室の系譜類、『旧記』と共に記紀の取材源になったと考えられているが、散逸して残っていない。聖徳太子と蘇我馬子は『天皇記』や諸氏の系譜や由来・功績な記載して『国記』を編纂したとされている。
 この時代には、天皇暗殺、仏教、女帝、遣唐使、役人の心得としての憲法、歴史書 など、初めてのことが多くなされています。政治的事柄を記録する役人が置かれていたのかもしれない。


5 天皇家の継続
 何故、継体天皇を擁立したのか。それほど天皇の血筋は大事なものだったのか、天皇支配の王朝の交代がなされなかったのか。手本としてきたであろう半島や大陸では王朝交代は日常的に行われていたと思われる中で、この国だけが血筋を保ったのか。『日本書紀』には、「葦原千五百秋瑞穂の国は、是、吾が子孫の王たるべき地なり。爾皇孫、就でまして治らせ。行矣。宝祚の隆えまさむこと、当に天壌と窮り無けむ」とある。ニニギがアマテラスより受けた「天壌無窮」の託宣である。『紀』が刊行される以前から「天壌無窮」がなされてきたことが奇跡的だと思われる。
 天皇家の遠い祖先はこの国を作った神であり、家系には時折霊力の優れた人がでる、尊い家柄で、その昔国が乱れているときに王として共立されたのが契機であり、連綿と続いてきた。さらに雄略天皇や武烈天皇は従来の天皇像とは異質な存在で、それまでの天皇像とは、平家とは逆で、奢らなく、人格的に優れた家系だったことが長続きの要諦だったように思われる。雄略や武烈の印象が残る飛鳥時代の天皇は慎みを持って生活をし、逆に蘇我氏は増長し奢ったのが命取りになったと思わる。


6 仏教伝来
 さて、皇室が仏教を受け入れたことは、皇室にとって功罪はどうだったのでしょうか。仏教は十七条憲法の思想的基盤を与え、また仏教の周辺には教義・医薬、金属、建築などの新しい技術があり、これらに通じておくことは時代を切り開く役に立ったと思われる。奈良時代の大仏造営も国論の統一などに役に立ったはずでしょう。

 現在、神社は宗教法人として扱われていますが、開祖がいないなど宗教とするにはもう一つであり、新たに祭祀をもっぱらにする祭祀法人とすればいいとの意見がある。同感である。

                          以上

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