Uga 原始仏教

1.序 
 『ブッダ最後の旅』岩波文庫 これは大般涅槃経である。涅槃とは、輪廻から解方されること。生まれ変わらないこと。生は苦である。          
生老病死 苦であり、過ぎ去るものであると思えば、楽でもある。


2.修行僧達が衰亡を来たさざる七つの法  
 1 あらゆるものは無常であるとの想いを修する。
 2 あらゆるものは我(アートマン)ならざるものとの想いを修する。アートマン 私をこのような私にしている「自我」。
 3 あらゆるものは不浄であるとの想いを修する。
 4 あらゆるものは厭わしい(不愉快、うとましい)ものであるとの想いを修する 
 5 あらゆるものを捨て去る想いを修する。
 6 あらゆる欲情から離れる想いを修する。
 7 止滅(心を鎮める瞑想)の想いを修する。


3.修行僧への法(ブッダの教え)に関する講話
 1 戒律とともに修養された精神統一は偉大な果報をもたらし、大いなる功徳がある。
 2 精神統一とともに修養され知恵は偉大な果報をもたらし、大いなる功徳がある。
 3 知恵とともに修養された心は諸々の汚れ、すなわち欲望の汚れ、生存の汚れ(人間の最も根源的な欲望)、見解の汚れ、無明の汚れ(無明無知は最大の汚れ)から完全に解脱する。


4.在俗信者に告げた、五つの禍い  
 1 戒めを犯し、行いの悪い人に起こる第一の禍は、大いに財産を失う。
 2 戒めを犯し、行いの悪い人に起こる第二の禍は、悪い評判が近づいてくる。
 3 戒めを犯し、行いの悪い人に起こる第三の禍は、いかなる集会でも不安でおじけている。
 4 戒めを犯し、行いの悪い人に起こる第四の禍は、死ぬときに精神が錯乱している。
 5 戒めを犯し、行いの悪い人に起こる第五の禍は、身体がやぶれて死んだのちに、悪いところ、苦しいところ、堕ちるところ、地獄に生まれる。


5.在俗信者に告げた、五つのすぐれた利点  
 1 戒めをたもち、品性ある人は、なおざりにしないことによって、財産が大いに豊になる。
 2 戒めをたもち、品性ある人は、良い評判が起こる。
 3 戒めをたもち、品性ある人は、いかなる集会に行っても、泰然で、おじけることはない。
 4 戒めをたもち、品性ある人は、死ぬときに精神錯乱することがない。穏やかな死
 5 戒めをたもち、品性ある人は、身体がやぶれて死んだのちに、善いところ、天の世界に生まれる。再びこの世に生まれることはない。
 戒め  殺生 盗み 淫乱 嘘 お酒
 


6.死を前にして    それ故に、この世で自らを島(よりどころ 灯明)として、自らをたよりとして、法(ブッダの教え)をよりどころとしてあれ。ブッダを頼らず、自分とブッダの教えに頼れ。

 修行者たちよ。私が示した法を修行しなさい。それは、清浄な行いが長く続き、久しく存続するように、ということを目指すのであって、このことが、多くの人の利益(りやく 恵みを与える)のために、多くの人々の幸福のために、世間の人々を憐れむ(幸福を与える、不幸を除く)ために、神々と人々の利益・幸福になるためである。
その法とは何であるか。神々 ジャーナ教・バラモン教の神々を尊重、しかし輪廻思想は否定している。

●四つの念ずることがら 四念処 さとりを得るための四つの観想法 
・この身は不浄(身体が腐敗・白骨化していく様を観想する) 
・観受(心身を澄ましてあきらかに外界を観る)は苦なり 
・心は無常なり 
・すべての事物は無我である。 無我 事物は現象として見えているだけであり、それ自体に本質はない。

●四つの努力 四正勤 四種の悟りを得るべく内面的に自己の精神の修養に勤めること 
・すでに生じた悪を除こうと勤めること 
・悪を生じないように勤めること 
・善(いのちを増幅して利益を与える行為)を生じるように勤めること 
・すでに生じた善を増すように勤めること

●四つの不思議な霊力 四神足 超自然的な神通力を得る基 
・すぐれた瞑想(心を乱さず、一つの対象を見つめること)を得ようと願うこと 
・すぐれた瞑想を得ようとする努力こと 
・心をおさめて、すぐれた瞑想を得ようとすること 
・知慧をもって思惟観察してすぐれた瞑想を得ること

●五つの勢力 五根 
解脱さとりにいたる五つの能力 信(信仰あるいは信心) 精進(継続して真摯に一途に取り組) 念(経験したことを明らかに記憶して忘れないこと) 定(心が動揺することがなくなった一定の状態) 慧(事物や道理を識知)
さとりに至らしめる五つのすぐれたはたらき 信仰 精進 憶念 禅定 知慧

●七つのさとりのことがら 七覚支 さとりを得るための七つの事柄 
・択法(ちゃくほう)教えの中から真実なるものを選び取り、偽りのものを捨てる ・精進 一心に努力すること 
・喜 真実の教えを実行する喜びに住すること 
・軽安(きょうあん)心身を軽やかに快適にすること 
・捨 対象へのとらわれを捨てること 
・定 心を集中して乱さないこと 
・念 おもいを平らかにすること

●八種よりなるすぐれた道 八聖道 理想の境地に達するための八つの道
・正しい見解 
・正しい思い 
・正しい言葉 
・正しい行為 
・正しい生活 
・正しい努力 
・正しい気づかい 
・正しい精神統一 これらを簡単に言うと、正しい道にのっとって生きること

女性に関する教え
1 女性を見るな。
2 女性に話しかけるな。
3 謹んでおれ。かかわるな。
 


7.ブッダの最後の言葉 
 さあ、修行者達よ。お前たちに告げよう、「もろもろの事象は過ぎ去るものである。怠ることなく修行を完成させなさい。」。

ブッダが亡くなられた時に梵天(世界の創造神・支配神)が次の詩を詠じた。
 この世における一切の生あるものども(衆生)は、ついには身体(個体としての存在)を捨てるであろう。

ブッダが亡くなられた時に帝釈天(インドラ神、元暴風神)が次の詩を詠じた。
 つくられたものは実に無常であり、生じては滅びるものである。これらのやすらい(はかり知るべからざる境地)が安楽である。

シャカの遺体を、舞踊・歌謡・音楽・花輪・香料をもって敬い、重んじ、尊び、供養して、火葬にふそう。

 遺体を麻や綿の布で何重にも巻いたという。葬式仏教の萌芽が見られる。

 参考文献
『ブッダ最後の旅』中村元 岩波文庫
『真理のことば 感興のことば』中村元 岩波文庫
『ブッダが最後に伝えたかったこと』川辺秀美 祥伝社新書

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