二上山から金剛山

1 ガンマ線と断層
 ガンマ線(γ線)とは、天然の鉱石(ラジウム等)から出ているX線と同じ波長の光線である。ラジウム(226Ra)がγ線を出してラドン(222Rん)になる。壊変と云う。ラジウムの親はウランであり、これは水で酸化し、岩石から溶脱し地層の中に入り、これがラジウムとなり、地層の粒子やその表面に吸着している。ラジウムからラドンができ、これは気体であり、水に溶けて地表面まで来ることがあるし、気体としても地表面に登ってくる。いずれも断層であれば、それが起こりやすい。また断層には粘土ができやすく、ラジウムが吸着しやすい。ラジウムとラドンはγ線を出すので、断層上にはγ線が多く現れる。


2 断層
 断層は崖がずれた形になるので、道になりやすい上に水がわき出す場所もでき、獣道になり、人が通り、神社が出来たりする。地質学界では断層を探すなら古社をも探せばいいとの諺があると聞いている。典型的な例は金剛断層にそった葛城古道沿いの神社である。葛木坐一言主神社や高鴨阿治須岐託彦根命神社は断層のすぐ側である。また大鳥大社付近や和泉市を通る熊野古道も断層上である。逆に伝仁徳陵古墳や伝履中陵古墳は断層にそって造営されており、見事に避けている。

黒太線は断層、熊野古道もぼほ同じルート。


3.交野市の断層と神社 『活断層のガンマ線探査』落合敏郎 から地図を引用。


 神社は概ね断層上に作られたようにおもわれる。




4.奈良のポックリ寺とガンマ線との関連
結論 関連はない。ポックリは伝承から。

生駒郡斑鳩町小吉田 吉田寺本尊 丈六阿弥陀如来像  γ線濃度 0.09μSv/h
由緒 創建は古く天智天皇の勅願と伝えられ、本堂西側に天皇の妹君・間人内親王を葬るといわれる清水の古墳がある。
「ぽっくり往生」の謂われ。 この寺は、永延元年(987)に恵心僧都(源信)が開基した。彼は母親の臨終の善知識となり、除魔の祈願をした浄衣を着せた。すると母親は苦しみもなく、安らかに称名念仏の中に往生の素懐をとげられた。
ポックリ往生とは長く病を患うことなく、腰・シモ・スソの世話にならず、天寿を全うできるとのこと。

香芝市良福寺 阿日寺 本尊 阿弥陀如来  γ線濃度 0.09 μSv/h
由緒 恵心(源信)の誕生地。源信の母親がここでポックリ往生したと伝わる。

奈良県當麻町染野 石光寺 本尊 弥勒菩薩坐像 γ線濃度 0.14 μSv/h
由緒 『当麻曼陀羅縁起』が中将姫が糸を染めた井戸を染井と云うが、その近くで、天智天皇の時代に光を放つ石があったので、それに弥勒菩薩を彫刻し、本尊として創建。



6.人体とγ線
X線とは波長領域(エネルギー領域)の一部が重なっており、ガンマ線とX線との区別は波長ではなく発生機構によっている。波長領域による区分として一意的に扱い、100〜10pm以下の波長をもつX線より高いエネルギー領域の電磁波をまとめてガンマ線と呼ぶ。
・空気中にあるラドンという放射性物質から1.2ミリシーベルト
・宇宙からやってくる宇宙放射線による被ばく量が0.4ミリシールト
・地面から約0.5ミリシーベルト、食べ物から約0.3ミリシーベルト
放射線の世界平均 1.2m/y    0.363μS/h
X線装置利用者基準  1mS/w   5.97μS/h
人体の安全     2.4mS/y  0.726μS/h
日本人X線被爆平均 2.25mS/y  人体の差し引き 0.15mS/y
0. 017μS/h



5.柏原市の式内社の配置とγ線濃度



 7.上町台地の二つの断層


上町断層 本町通りのγ線量 μSv/h 
御堂筋 0.05 堺筋 0.05 東〒 0.05 東横堀川 0.19 
内本町 0.05 谷町筋 0.09 上町筋 0.05 生魂お旅所 0.09

桜川断層の一部
 南船場町の中(地下鉄四つ橋線四つ橋駅東北50m付近)
 通路 南から北へ  0.05  0.09〜0.14 の巾は3m間  0.05
 断層は45度の傾き  断層の巾は2m程度か。 

 ガンマ線強度の測定は、エアカウンターを使用。 

   

 以上

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