Uga鳥・酉


1 鳥は太陽を導く 太陽の船の水先案内。


1−1 エジプトのセン・ネジュム壁画(3,000年前)と珍塚古墳壁画(1,500年前)1万キロの距離と1500年の時を隔てて、文化が伝播している。太陽を船に乗せ、鳥が導くと云うコンセプトが伝播したのである。

セン・ネジュム壁画

珍塚古墳壁画

珍塚古墳壁画全体


『古事記』天の石屋戸を開ける際に、常世の長鳴鳥を鳴かせて、天照大神をおびきだすお話がある。夜明けに鶏が鳴くことからの類推。夜明けには猿も騒ぐと云う。従って申酉年は騒がしいと云う。

1−2 東南アジアの山岳地帯に住む苗族は村の中央に高い柱を立てて、頂上に鳥形木製品を置く。太陽を呼ぶためとされる。龍が巻き付いて天を目指している。

1−3 三本足の烏。 『孝徳紀』に、遣唐使が死んだ三足烏を持ち帰り、目出度いものとあるが、八咫烏の足については、『記・紀』ともに何も書かれていない。この話は平安中期の『倭名類聚抄』が初出である。太陽の象徴の三本足烏の祭が行われている。

 ゲーター祭は三重県鳥羽市神島の八代神社で行われる。直径2mのグミの木の輪を射る。



オビシャ神事は利根川流域に多い。この神事では、三本足のカラスの絵などを射る。


2 鳥は予知し、邪霊を侵入を防ぐ。 


2−1 池上曽根遺跡の周辺部から鳥形木製品が出土している。竿に指すための穴が開いている。弥生時代の鳥形木製品は30点出土しており、うち17点に穴があけられている。邪霊を見破る予知能力があるとされる。

池上曽根遺跡から出土した鳥形木製品


−2 韓国のソッテ ソッテは鳥竿であり、村の入り口に立てられている。『魏志東夷伝』大木を立てて鈴や鼓を懸ける 蘇塗というとある。現在は豊穣祈願・災害防止・子孫繁栄のためとされている。

2−3 鳥竿・卒土・蘇塗は鳥居になっていく。  


 



3 霊魂を運ぶ。魂振りをする。


3−1 死者の魂を他界に案内する。ヤマトタケルは白鳥となり、西方に飛んでいった。
対馬では新仏の墓に鳥竿を立てる。ツバメで、早く他界に行けるようにとのこと。卒土とか天童地という。


写真は参考文献*1から。


 天若日子の物語は葬儀を含めてヒチコックの世界の如き鳥鳥鳥である。別の働きであるが、探女が登場している。スパイの働きやノアの箱船の鳥のように海上で陸地を探すこともする。

 山口県豊北町土井が浜 弥生時代の300体人骨が出土、女が鵜をかかえていた。

3−2 魂振り シャーマンの頭に羽ね、シャーマンが鳥となって神のもとに行く。
垂仁天皇の皇子の誉津別命が飛ぶ白鳥を見て、初めて声を出した。白鳥が皇子の魂を揺り動かしたのである。

 大王は池に水鳥を飼い、眺めていた。鳥に霊力があると考えられていた。その為に鳥養部や鳥取部をがいkた。

3−3 鳥は金属精錬の神 物部氏は先祖が白鳥と信じていた。鍛冶氏族は白鳥を崇拝。

金屋子神社  島根県安来市広瀬町 社記によれば、金屋子神は、「白鷺に乗って西国へ赴き、出雲の国能義郡黒田奥比田の山林に着き給い、桂の木に羽を休めておられるところ、たまたま狩に出ていた安部正重(宮司の祖先)が発見し、やがて神託により、長田兵部朝日長者なる者が宮居を建立し、神主に正重を任じ、神は自ら村下(技師長)となり給い、朝日長者の集めた炭と粉鉄(砂鉄)を吹き給へば、神通力の致すところ、鉄の涌くこと限りなし。 とある。


3−4 植物の魂を運ぶ。
 木種 植樹の神の五十猛神が野原で休憩しているとき、周辺が火事になり、逃げ場がないときに多くの、小鳥が羽ねに水を含ませて飛んできて、神を救い出した。伊豆の河津の杉鉾別命神社の口伝。
素戔嗚尊と五十猛存は出雲の鳥上峰に天降った。鳥神である。現在は船通山という。
   

船通山
 
麓の鬼神神社は五十猛神を祭る。

穀霊 『倭姫命世記』に、穂落とし伝承が記載されている。一羽の真名鶴が一茎に千穂の茂る稲をくわえて鳴いていた。その稲の生えた所を千田と称し、傍らに社を建てた。これが伊雑宮であり、彼の真名鶴を大歳神として祭ったのが佐美長神社である。う。 銅鐸に描かれた鳥は鶴が多いようだ。白い鳥は稲魂を運ぶとされていたようだ。銅鐸を作って祀ったのは、稲作民と言える。


銅鐸に描かれた鳥 鶴のよう見えるが、鷺とされている。

銅鐸を鳴り響かせて稲魂を奮い立たせたのであろうか。

 稲魂 『豊後国風土記』 白い鳥が飛んできて餅となり、次ぎに芋草(いも)になった。

 『豊後国風土記』 速見郡 田野 住民は水田を耕しており、大いに富み奢り、餅を作って弓の的とした。餅は白い鳥となって南の方に飛び立った。その年の内に住民は死に絶えた。

 『山城国風土記』に「伊奈利と称ふは、秦中家忌寸等が遠つ祖、伊侶具の秦公、稲梁を積みて富み裕ひき。 乃ち、餅を用ちて的と為ししかば、白き鳥と化成りて飛び翔りて山の峯の居り、伊禰奈利生ひき。 

麦魂  米の収穫が終われば、収穫祭も重要であるが、更に行うべき事は麦を植えて育てる事、丁度北から鴨が渡ってくる頃であり、鴨は麦作の守り神とされたと思われる。穀神の交替で稲作の天若日子が去った後に麦作の阿遅須伎高日子根命が登場すると考えてもいい。

 カルガモが麦の青葉を好む害鳥である。

アジカモ 巴鴨とも云う。


天照大御神と迦毛大御神とが並び立ったのである。

 民話にもなっている、「権兵衛が種播きゃ、カラスがほじくる。」の話があり、古来より鳥や獣は農民を苦しめてきたが、鳥は穀物の守護神ともなっている。
 カラスや雀は穀物の守護神にはなっておらず、守護神は鶴、鷺、鴨などの水鳥が多い。

以上

参考文献 *1 萩原秀三郎『稲と鳥と太陽の道』
    *2 辰巳和弘 『風土記の考古学』
*3 谷川健一 『白鳥伝説』
                       

神奈備にようこそ